のんたん日記 ３
６．家さがし その２ 「おうちめぐり」
６．１ １６２０万円ナリ （2001年 10月1日）
６．２ おうちめぐりはたのしいぞ （2001年 10月13日）
１６２０万円ナリ
せっかく見つけた貸家をタッチの差でのがしてしまったわけですが、それでも、おかあさんはなかなかあきらめる気持ちになれませんでした。「今度の人もキャンセルするかもしれない。」などと淡い期待を抱きつづけ、実はその後も、その貸家を何度も見に行ってしまいました。
「どうか、キャンセルになりますように…。」というおかあさんの願いもむなしく、ある日とうとう、その家の前に横づけになった引越しセンターの車を見ることになってしまいました。いつ訪ねても人気のなかったその家の中からは、灯りがもれています。
それを見たとき、おかあさんは初めて、「この家は本当に他の人に決まってしまったのだ。」とあきらめました。そうして、がっくりときてしまいました。
おかあさんは、マンションよりも戸建てが好きなのです。共働きをしていれば、マンションの方が、住むには便利に決まっています。けれど、ずっと前にマンションに住んでいたころ、上の階の住人の騒音でいやな思いをした経験があったために、マンションにはできれば住みたくない、とおかあさんはずっと思っていました。葛飾区に引っ越してから現在までの三年間は、マンションを借りて仮住まいをしていましたが、これから９年間ずっと暮らしていくとしたら、やはり戸建てに、とおかあさんはこだわったのです。
けれど、これ以上ないほど条件にぴったりだった家を逃してしまったのですから、もうそんなことは言っていられません。しかたなく、おかあさんは戸建てをあきらめ、希望のエリア内にある賃貸マンションを調べはじめました。
そんなおかあさんと違い、おとうさんの方ははじめから「マンション派」でした。
「どうせ借りものなんだから、戸建てにこだわるよりも生活に便利な方がいいよ。マンションなら、鍵ひとつかければ出かけられるし、気が楽だよ。」
と、あっさりしたものです。
たしかにそれはそうなのです。それに、戸建ては寒いけどマンションなら冬でも暖かいし…、などと考えて、マンションもいいかな、とおかあさんも思い直しました。
船橋の家の荷物を全部運んでくるとなると、３ＬＤＫくらいの広さは必要です。それだと、家賃の相場は１３万円くらいでした。けれど、それだけではすみません。駐車場だって別に借りなければならないのですから、それを含めると、月１５万円くらいになってしまいます。
「毎月１５万円払って、一年で１６０万円。それを９年続けるとすると…、１６２０万円？！」
「それだけじゃないさ。あと、更新料だってかかるんだから。」
たいへんな出費です。おかあさんはうなってしまいました。
「あのさ、そんなにかかるんだったら、１５００万円くらいで、マンションを買っちゃった方がいいんじゃないの？ 家賃をずっと払ったって、なんにも残らないよ。」
「でも、そんな安いマンションなんてないだろう？」
おかあさんが提案しても、おとうさんは相手にしませんでした。
ところが、あったのです。インターネットで調べてみると、バブルがはじけて、中古マンションの価格はずいぶん下がっていることがわかりました。
「これなんかどう？ 築２０年だけど、７５㎡もあるよ。もうちょっとまけてくれたら、買えるかも。」
今度は、おとうさんも黙っています。おかあさんがあまりに唐突なことを言うので、返事に困っているのです。
「とにかく、見てみようよ。」
と、おかあさん。早速、不動産会社に連絡し、見せてもらうことにしました。
「考えてみたら、マンションってさあ、他に駐車場を借りなくちゃいけなくて、それも、マンションの隣りに借りられるとは限らないから、駐車場と家との行き来がメンドウだよな。」
「それを言うなら、車庫つきの一戸建てじゃなくちゃダメでしょ。家の中に車庫があったら、便利だよね。」
「でも、一戸建ては家の管理がメンドウだし、冬は寒いし…。」
「じゃあ、いったいどっちがいいわけ？！」
「うーーん…。どっちもどっちなんだよな～。」
あ～ やっぱりこのおとうさんと話していたら家なんて永久に見つからない、としみじみ思う、おかあさんなのでした。
（次回につづく）
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おうちめぐりはたのしいぞ
次の土曜日は、秋晴れで気持ちのいい日でした。おかあさんは不動産会社のＳさんと待ち合わせ、駅前で売りに出されているマンションを見にでかけました。マンションなんてどこも同じ、と思っているのか、おとうさんはあまり乗り気ではありません。近くに駐めた車の中でのんたんとあみちゃんをみているから、ということで、おかあさんだけが室内を見せてもらうことにしました。
そのマンションには、まだ持ち主の方が居住中なのですが、その日はお子さんの運動会があるということで、お留守でした。
「家の鍵をお預かりしてありますから。」
と、担当のＳさんはカバンから鍵をとりだし、ドアを開けてくれました。
知らない人の家に、居住者が不在だというのに勝手に入るというのは変な感じで、どうもおちつきません。室内はきちんと整頓されていて、とてもきれいなマンションでしたが、間取りだけざっと見せてもらって、おかあさんはそそくさと出てきてしまいました。
このマンションは、駅から歩いて一分のところにあり、絶好の立地です。広さもまあまあなので、実は、おかあさんは内心、このマンションを買おうと決めていました。ですから、朝晩、会社の帰りにこのマンションの前の道を通るようにして、毎日このマンションのことを観察していたくらいなのです。
けれど、実際に中を見てみると、どうも決心がつかないのです。
自分は本当にここに住みたいのか。ここに住んだら、毎日楽しい気持ちになれるのか、と自分に問いかけてみると、なにかそうではないように思うのです。
おかあさんは、事前にＳさんに頼んで、付近の一戸建て売り物件をいくつか探してもらっていたので、その後はＳさんといっしょに、一家で売り家めぐりをすることになりました。
Ｓさんが案内してくれたのは三軒で、どれも新築の売り家です。がらんとしていて中に何もない家に入るというのは、あみちゃんにははじめての経験です。中にはいるなり、大喜びで部屋を見てまわっています。
「ね、二階に上がってもいい？」
と、わくわくした顔で尋ね、いいとわかるなり、階段に突進していきました。
のんたんも、おかあさんに手を引かれて階段まで歩いていきます。そして、そこに階段があるとわかり、とっことっこと上り始めました。落ちても大丈夫なように、と、おかあさんものんたんの後ろにぴったりくっついて上がります。のんたんは階段の上り下りがとても上手で、踏み外したり転んだりしたことは一度もないのですが…。
二階にあがると、そこは小ぶりのＬＤＫで、つきあたりには出窓がありました。
「う～ん、狭いんだよな～。」
家族が一日のほとんどをいっしょに過ごすところですから、ＬＤＫには広いスペースが欲しい、とおかあさんは思っていました。ですが、ここは１０畳あるかないかで、ちょっと狭すぎます。
そんなことを考えているうちに、ふと見ると、のんたんとあみちゃんは、なんと、出窓によじのぼろうとしているではありませんか。出窓にぶらさがって、なんとか足をかけようとぶらんぶらんしているようすに、おかあさんはびっくりしました。
あぶないからではありません。この程度なら、落ちてもたかが知れています。そうではなくて、おかあさんが気になったのは、ふたりの足の裏でした。
人が住んでいない家の床というのは、案外汚れているものです。思ったとおり、スリッパをはいていないふたりの足の裏は、まっくろでした。こんな足で出窓をよじのぼったりしては、ぴかぴかの壁紙に見事な足型がついてしまいます。
おかあさんはあわててふたりを下ろし、壁をチェックしました。気がつくのが早かったので、幸い、壁に被害はありません。あー よかった。
そんなわけで、「のんたんをしっかり見ているように。」とおとうさんに厳命し、おかあさんはひとりで他の部屋を見てまわることにしました。
最近、東京都区内の新築物件というのは、ほとんどが３階建てになっています。狭い敷地に建てているので、３階にならざるをえないのでしょう。それはともかくとして、なによりもおかあさんが気になったのは、ひとつひとつの部屋の小ささでした。部屋数を増やすために、間取りもごちゃごちゃとしていて、なんだか使いづらい間取りだなあ、という印象です。
２軒目も、３軒目も、間取りがいまひとつで、おかあさんはなんとなく気に入りません。一言で言えば、「あっ ここに住みたい！」と思えないのです。売り物件はいくつもあるというのに、本当に気に入る家というのは案外ないものだなあ、とおかあさんは思いました。
結局、話が進展しないまま、その日は終了することとなりました。
「来年の３月までに、と考えていますから、急ぐ話ではないんです。またなにかあったらお願いします。」
と、おかあさんはＳさんにお礼を言いました。
ぐるぐるといろんな家を一度に見て歩いて、なんだか、おとうさんもおかあさんも疲れてしまいました。けれど、のんたんとあみちゃんは違います。
「あー おもしろかった！ おうちを見るのって、たのしいねえ！！」
と、大満足のあみちゃん。
あみちゃんにしてみれば、どこかの公園で遊ぶのと同じくらいにわくわくするような探検だったことでしょう。もちろん、のんたんもゴキゲンです。一軒一軒、丹念に歩き回って探索したのんたんは、どの家でも、「やだやだ、もっとここで遊ぶんだい。」と言わんばかりに抵抗して、なかなか次の家に行かせてくれませんでした。楽しかったんだね、のんたん。
おとうさんとおかあさんが家のことで頭を痛め、毎日家を探しているなんて、のんたんが知っているはずもありません。この日のことも、のんたんにしてみれば、「ぐるぐるといろんなところにお出かけして、広いお部屋の中をいっぱい歩いて、なんだかアスレチックコースみたいなこともやったぞ～」くらいに思っていることでしょう。
思うような家は見つからなかったけど、のんたんとあみちゃんが楽しめたんだから、とりあえず、ま、いっか、と思う、おかあさんなのでした。
（次回につづく）
６．１ １６２０万円ナリ （2001年 10月1日）
６．２ おうちめぐりはたのしいぞ （2001年 10月13日）
１６２０万円ナリ
せっかく見つけた貸家をタッチの差でのがしてしまったわけですが、それでも、おかあさんはなかなかあきらめる気持ちになれませんでした。「今度の人もキャンセルするかもしれない。」などと淡い期待を抱きつづけ、実はその後も、その貸家を何度も見に行ってしまいました。
「どうか、キャンセルになりますように…。」というおかあさんの願いもむなしく、ある日とうとう、その家の前に横づけになった引越しセンターの車を見ることになってしまいました。いつ訪ねても人気のなかったその家の中からは、灯りがもれています。
それを見たとき、おかあさんは初めて、「この家は本当に他の人に決まってしまったのだ。」とあきらめました。そうして、がっくりときてしまいました。
おかあさんは、マンションよりも戸建てが好きなのです。共働きをしていれば、マンションの方が、住むには便利に決まっています。けれど、ずっと前にマンションに住んでいたころ、上の階の住人の騒音でいやな思いをした経験があったために、マンションにはできれば住みたくない、とおかあさんはずっと思っていました。葛飾区に引っ越してから現在までの三年間は、マンションを借りて仮住まいをしていましたが、これから９年間ずっと暮らしていくとしたら、やはり戸建てに、とおかあさんはこだわったのです。
けれど、これ以上ないほど条件にぴったりだった家を逃してしまったのですから、もうそんなことは言っていられません。しかたなく、おかあさんは戸建てをあきらめ、希望のエリア内にある賃貸マンションを調べはじめました。
そんなおかあさんと違い、おとうさんの方ははじめから「マンション派」でした。
「どうせ借りものなんだから、戸建てにこだわるよりも生活に便利な方がいいよ。マンションなら、鍵ひとつかければ出かけられるし、気が楽だよ。」
と、あっさりしたものです。
たしかにそれはそうなのです。それに、戸建ては寒いけどマンションなら冬でも暖かいし…、などと考えて、マンションもいいかな、とおかあさんも思い直しました。
船橋の家の荷物を全部運んでくるとなると、３ＬＤＫくらいの広さは必要です。それだと、家賃の相場は１３万円くらいでした。けれど、それだけではすみません。駐車場だって別に借りなければならないのですから、それを含めると、月１５万円くらいになってしまいます。
「毎月１５万円払って、一年で１６０万円。それを９年続けるとすると…、１６２０万円？！」
「それだけじゃないさ。あと、更新料だってかかるんだから。」
たいへんな出費です。おかあさんはうなってしまいました。
「あのさ、そんなにかかるんだったら、１５００万円くらいで、マンションを買っちゃった方がいいんじゃないの？ 家賃をずっと払ったって、なんにも残らないよ。」
「でも、そんな安いマンションなんてないだろう？」
おかあさんが提案しても、おとうさんは相手にしませんでした。
ところが、あったのです。インターネットで調べてみると、バブルがはじけて、中古マンションの価格はずいぶん下がっていることがわかりました。
「これなんかどう？ 築２０年だけど、７５㎡もあるよ。もうちょっとまけてくれたら、買えるかも。」
今度は、おとうさんも黙っています。おかあさんがあまりに唐突なことを言うので、返事に困っているのです。
「とにかく、見てみようよ。」
と、おかあさん。早速、不動産会社に連絡し、見せてもらうことにしました。
「考えてみたら、マンションってさあ、他に駐車場を借りなくちゃいけなくて、それも、マンションの隣りに借りられるとは限らないから、駐車場と家との行き来がメンドウだよな。」
「それを言うなら、車庫つきの一戸建てじゃなくちゃダメでしょ。家の中に車庫があったら、便利だよね。」
「でも、一戸建ては家の管理がメンドウだし、冬は寒いし…。」
「じゃあ、いったいどっちがいいわけ？！」
「うーーん…。どっちもどっちなんだよな～。」
あ～ やっぱりこのおとうさんと話していたら家なんて永久に見つからない、としみじみ思う、おかあさんなのでした。
（次回につづく）
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おうちめぐりはたのしいぞ
次の土曜日は、秋晴れで気持ちのいい日でした。おかあさんは不動産会社のＳさんと待ち合わせ、駅前で売りに出されているマンションを見にでかけました。マンションなんてどこも同じ、と思っているのか、おとうさんはあまり乗り気ではありません。近くに駐めた車の中でのんたんとあみちゃんをみているから、ということで、おかあさんだけが室内を見せてもらうことにしました。
そのマンションには、まだ持ち主の方が居住中なのですが、その日はお子さんの運動会があるということで、お留守でした。
「家の鍵をお預かりしてありますから。」
と、担当のＳさんはカバンから鍵をとりだし、ドアを開けてくれました。
知らない人の家に、居住者が不在だというのに勝手に入るというのは変な感じで、どうもおちつきません。室内はきちんと整頓されていて、とてもきれいなマンションでしたが、間取りだけざっと見せてもらって、おかあさんはそそくさと出てきてしまいました。
このマンションは、駅から歩いて一分のところにあり、絶好の立地です。広さもまあまあなので、実は、おかあさんは内心、このマンションを買おうと決めていました。ですから、朝晩、会社の帰りにこのマンションの前の道を通るようにして、毎日このマンションのことを観察していたくらいなのです。
けれど、実際に中を見てみると、どうも決心がつかないのです。
自分は本当にここに住みたいのか。ここに住んだら、毎日楽しい気持ちになれるのか、と自分に問いかけてみると、なにかそうではないように思うのです。
おかあさんは、事前にＳさんに頼んで、付近の一戸建て売り物件をいくつか探してもらっていたので、その後はＳさんといっしょに、一家で売り家めぐりをすることになりました。
Ｓさんが案内してくれたのは三軒で、どれも新築の売り家です。がらんとしていて中に何もない家に入るというのは、あみちゃんにははじめての経験です。中にはいるなり、大喜びで部屋を見てまわっています。
「ね、二階に上がってもいい？」
と、わくわくした顔で尋ね、いいとわかるなり、階段に突進していきました。
のんたんも、おかあさんに手を引かれて階段まで歩いていきます。そして、そこに階段があるとわかり、とっことっこと上り始めました。落ちても大丈夫なように、と、おかあさんものんたんの後ろにぴったりくっついて上がります。のんたんは階段の上り下りがとても上手で、踏み外したり転んだりしたことは一度もないのですが…。
二階にあがると、そこは小ぶりのＬＤＫで、つきあたりには出窓がありました。
「う～ん、狭いんだよな～。」
家族が一日のほとんどをいっしょに過ごすところですから、ＬＤＫには広いスペースが欲しい、とおかあさんは思っていました。ですが、ここは１０畳あるかないかで、ちょっと狭すぎます。
そんなことを考えているうちに、ふと見ると、のんたんとあみちゃんは、なんと、出窓によじのぼろうとしているではありませんか。出窓にぶらさがって、なんとか足をかけようとぶらんぶらんしているようすに、おかあさんはびっくりしました。
あぶないからではありません。この程度なら、落ちてもたかが知れています。そうではなくて、おかあさんが気になったのは、ふたりの足の裏でした。
人が住んでいない家の床というのは、案外汚れているものです。思ったとおり、スリッパをはいていないふたりの足の裏は、まっくろでした。こんな足で出窓をよじのぼったりしては、ぴかぴかの壁紙に見事な足型がついてしまいます。
おかあさんはあわててふたりを下ろし、壁をチェックしました。気がつくのが早かったので、幸い、壁に被害はありません。あー よかった。
そんなわけで、「のんたんをしっかり見ているように。」とおとうさんに厳命し、おかあさんはひとりで他の部屋を見てまわることにしました。
最近、東京都区内の新築物件というのは、ほとんどが３階建てになっています。狭い敷地に建てているので、３階にならざるをえないのでしょう。それはともかくとして、なによりもおかあさんが気になったのは、ひとつひとつの部屋の小ささでした。部屋数を増やすために、間取りもごちゃごちゃとしていて、なんだか使いづらい間取りだなあ、という印象です。
２軒目も、３軒目も、間取りがいまひとつで、おかあさんはなんとなく気に入りません。一言で言えば、「あっ ここに住みたい！」と思えないのです。売り物件はいくつもあるというのに、本当に気に入る家というのは案外ないものだなあ、とおかあさんは思いました。
結局、話が進展しないまま、その日は終了することとなりました。
「来年の３月までに、と考えていますから、急ぐ話ではないんです。またなにかあったらお願いします。」
と、おかあさんはＳさんにお礼を言いました。
ぐるぐるといろんな家を一度に見て歩いて、なんだか、おとうさんもおかあさんも疲れてしまいました。けれど、のんたんとあみちゃんは違います。
「あー おもしろかった！ おうちを見るのって、たのしいねえ！！」
と、大満足のあみちゃん。
あみちゃんにしてみれば、どこかの公園で遊ぶのと同じくらいにわくわくするような探検だったことでしょう。もちろん、のんたんもゴキゲンです。一軒一軒、丹念に歩き回って探索したのんたんは、どの家でも、「やだやだ、もっとここで遊ぶんだい。」と言わんばかりに抵抗して、なかなか次の家に行かせてくれませんでした。楽しかったんだね、のんたん。
おとうさんとおかあさんが家のことで頭を痛め、毎日家を探しているなんて、のんたんが知っているはずもありません。この日のことも、のんたんにしてみれば、「ぐるぐるといろんなところにお出かけして、広いお部屋の中をいっぱい歩いて、なんだかアスレチックコースみたいなこともやったぞ～」くらいに思っていることでしょう。
思うような家は見つからなかったけど、のんたんとあみちゃんが楽しめたんだから、とりあえず、ま、いっか、と思う、おかあさんなのでした。
（次回につづく）