のんたん日記 ３
２５．バスに乗って
２５．７ Ｕ先生と（３） 〜連絡帳より〜 （2002年 4月30日）
２５．８ 悲しいバス （2002年 5月7日）
２５．９ 三日でおしまい？ （2002年 5月9日）
Ｕ先生と（３） 〜連絡帳より〜
４月３０日
Ｕ先生から
今日から、帰りのバスにのんたんをひとりで乗せるようにします。
バスでは、のんたんが座る席はいつも決まっていて、その窓際の方の席に座り、
隣りには同じクラスのＮくんがいっしょに座っています。
のんたんはもう、私がついていなくてもだいじょうぶだと思います。
これまで、実際にバスに乗って帰ったのは８回でしたが、
のんたんが毎日どんどん変わっていくので、私も介助の方もびっくりでした。
このごろののんたんは、入学したての頃とは別人のように、
落ち着いて座っていられます。
朝のバスに乗る練習も希望されるようでしたら、
いつから始めたいか、お知らせください。
私もその時間に堀切菖蒲園駅前でお待ちして、
のんたんといっしょにバスに乗りますので。
のんたんが朝のバスにも乗るのかあ…。
それに乗って学校に行くことができたらいいだろうなあ、と思いながらもあきらめていたバス通学の練習が、いよいよ始められるのです。それもなんと、担任のＵ先生がわざわざバス停まで来て、のんたんといっしょに乗ってくださるとのこと。これには、おとうさんもおかあさんもびっくりしました。
のんたんといっしょにバスに乗るためには、朝７時５０分までにバス停にいなければなりません。それはおそらく、Ｕ先生の出勤時間よりも早いのだろうと思われました。
おかあさんは、ありがたくてありがたくて、そして申し訳なくて、なんと言っていいかわからないくらいでした。
それでも、そこまで言ってくださるのであればそれにあまえよう、とおとうさんとおかあさんは相談し、
「それでは、５月７日よりお願いいたします。」
と言いました。
気がつくと、Ｕ先生がはじめに目標としておられた「連休明けからのバス通学」が、現実のものとなりつつありました。入学式の頃は、おとうさんもおかあさんも「そんなまさか」と思っていたことだったのですが。
（次回につづく）
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悲しいバス
５月７日
Ｕ先生から
朝、バスが到着する前におとうさんとバス停で出会ったので、
のんたんをお預かりして、おとうさんには先にお仕事に
行っていただきました。
ところが、それがさびしかったのでしょうか。
バスに乗ると、のんたんは泣き出してしまいました。
バスが出発するまでおとうさんに見送っていただけばよかった、と反省しました。
どうもすみませんでした。
考えてみたら、のんたんがひとりでバス通学をするようになったら、
のんたんをバスに乗せるのはおとうさんの役わりなのですから、
おとうさんには、のんたんがバスに乗るところまでいていただく方が
自然ですよね。
明日からは、のんたんがバスに乗るまで見送ってあげてください。
初めてのバス通学の朝、のんたんはおとうさんといっしょに、堀切菖蒲園駅前のバス停まで元気よく歩いていきました。そして、バス停に先に来て待っていたＵ先生と手をつないで、うれしそうにしていたそうです。
のんたんは、もちろん、Ｕ先生が大好きです。ですからおとうさんは、なんの疑問もなく、Ｕ先生にのんたんをお願いして、そのまま仕事にでかけてしまったのです。ところが、のんたんにしてみれば、これは予想外のことだったようです。
それまで、保育園にも盲学校にも、のんたんは必ず、おとうさんかおかあさんといっしょにでかけていきました。ですから、Ｕ先生と出会っても、盲学校まではおとうさんがいっしょに来るものだとのんたんは思い込んでいたのです。
ところが、おとうさんはバスに乗らず、のんたんとＵ先生だけを乗せて、バスが出発してしまいました。そのことが、のんたんには悲しかったのでしょう。Ｕ先生にも、ご迷惑をかけてしまいました。
おとうさんやおかあさんですらもあたりまえと思っていて気づかずにすましていることを、のんたんはこうして、折にふれておしえてくれます。この日のできごとをとおして、まだまだ、「のんたんのおかあさん」としての修行が足りないなあ、と思うおかあさんなのでした。
（次回につづく）
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三日でおしまい？
翌日から、おとうさんはのんたんといっしょにバス停まで行くと、のんたんがバスに乗り込むまでいっしょについているようにしました。
のんたんは、バスに乗るとき、ちょっと抵抗するのだそうです。けれど、おとうさんが、
「いってきまあああす、だよ。のんたん。」
と言いながらのんたんのおしりを押すと、しぶしぶながら、ステップをあがりはじめます。
いったん乗ってしまうと、大好きなバスに、大好きなＵ先生といっしょに乗って、大好きな盲学校に行くのですから、気持ちをとりなおして、あとはルンルン。
「学校に着くまで、ごきげんに座っていられます。」
とＵ先生からおしえていただき、おとうさんもおかあさんもほっと胸をなでおろしているのでした。
こうして、Ｕ先生と朝のバス停で待ち合わせて、のんたんのバス通学に付き添っていただくようになって、三日が過ぎました。
三日目の夜、Ｕ先生からの連絡帳を見て、おかあさんはびっくりしました。
「明日の朝から、のんたんをひとりでバスに乗せてください。
朝のバスでも、のんたんは落ち着いて座っていて、
まったく問題がありません。
介助の方からも、『これなら、もうひとりで乗れるね。』と
太鼓判をおしていただきました。
介助の方からＯＫがでれば、もうだいじょうぶです。」
だいじょうぶです、と言われても、朝の練習はまだ三日しかやっていません。それでほんとうにいいの？ と、おかあさんは心配でしたが、なにしろU先生がだいじょうぶと言われるのです。それを信じてやってみるしかありません。
こうしていよいよ、のんたんはひとりでバス通学をスタートすることになりました。
（次回につづく）
２５．７ Ｕ先生と（３） 〜連絡帳より〜 （2002年 4月30日）
２５．８ 悲しいバス （2002年 5月7日）
２５．９ 三日でおしまい？ （2002年 5月9日）
Ｕ先生と（３） 〜連絡帳より〜
４月３０日
Ｕ先生から
今日から、帰りのバスにのんたんをひとりで乗せるようにします。
バスでは、のんたんが座る席はいつも決まっていて、その窓際の方の席に座り、
隣りには同じクラスのＮくんがいっしょに座っています。
のんたんはもう、私がついていなくてもだいじょうぶだと思います。
これまで、実際にバスに乗って帰ったのは８回でしたが、
のんたんが毎日どんどん変わっていくので、私も介助の方もびっくりでした。
このごろののんたんは、入学したての頃とは別人のように、
落ち着いて座っていられます。
朝のバスに乗る練習も希望されるようでしたら、
いつから始めたいか、お知らせください。
私もその時間に堀切菖蒲園駅前でお待ちして、
のんたんといっしょにバスに乗りますので。
のんたんが朝のバスにも乗るのかあ…。
それに乗って学校に行くことができたらいいだろうなあ、と思いながらもあきらめていたバス通学の練習が、いよいよ始められるのです。それもなんと、担任のＵ先生がわざわざバス停まで来て、のんたんといっしょに乗ってくださるとのこと。これには、おとうさんもおかあさんもびっくりしました。
のんたんといっしょにバスに乗るためには、朝７時５０分までにバス停にいなければなりません。それはおそらく、Ｕ先生の出勤時間よりも早いのだろうと思われました。
おかあさんは、ありがたくてありがたくて、そして申し訳なくて、なんと言っていいかわからないくらいでした。
それでも、そこまで言ってくださるのであればそれにあまえよう、とおとうさんとおかあさんは相談し、
「それでは、５月７日よりお願いいたします。」
と言いました。
気がつくと、Ｕ先生がはじめに目標としておられた「連休明けからのバス通学」が、現実のものとなりつつありました。入学式の頃は、おとうさんもおかあさんも「そんなまさか」と思っていたことだったのですが。
（次回につづく）
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悲しいバス
５月７日
Ｕ先生から
朝、バスが到着する前におとうさんとバス停で出会ったので、
のんたんをお預かりして、おとうさんには先にお仕事に
行っていただきました。
ところが、それがさびしかったのでしょうか。
バスに乗ると、のんたんは泣き出してしまいました。
バスが出発するまでおとうさんに見送っていただけばよかった、と反省しました。
どうもすみませんでした。
考えてみたら、のんたんがひとりでバス通学をするようになったら、
のんたんをバスに乗せるのはおとうさんの役わりなのですから、
おとうさんには、のんたんがバスに乗るところまでいていただく方が
自然ですよね。
明日からは、のんたんがバスに乗るまで見送ってあげてください。
初めてのバス通学の朝、のんたんはおとうさんといっしょに、堀切菖蒲園駅前のバス停まで元気よく歩いていきました。そして、バス停に先に来て待っていたＵ先生と手をつないで、うれしそうにしていたそうです。
のんたんは、もちろん、Ｕ先生が大好きです。ですからおとうさんは、なんの疑問もなく、Ｕ先生にのんたんをお願いして、そのまま仕事にでかけてしまったのです。ところが、のんたんにしてみれば、これは予想外のことだったようです。
それまで、保育園にも盲学校にも、のんたんは必ず、おとうさんかおかあさんといっしょにでかけていきました。ですから、Ｕ先生と出会っても、盲学校まではおとうさんがいっしょに来るものだとのんたんは思い込んでいたのです。
ところが、おとうさんはバスに乗らず、のんたんとＵ先生だけを乗せて、バスが出発してしまいました。そのことが、のんたんには悲しかったのでしょう。Ｕ先生にも、ご迷惑をかけてしまいました。
おとうさんやおかあさんですらもあたりまえと思っていて気づかずにすましていることを、のんたんはこうして、折にふれておしえてくれます。この日のできごとをとおして、まだまだ、「のんたんのおかあさん」としての修行が足りないなあ、と思うおかあさんなのでした。
（次回につづく）
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三日でおしまい？
翌日から、おとうさんはのんたんといっしょにバス停まで行くと、のんたんがバスに乗り込むまでいっしょについているようにしました。
のんたんは、バスに乗るとき、ちょっと抵抗するのだそうです。けれど、おとうさんが、
「いってきまあああす、だよ。のんたん。」
と言いながらのんたんのおしりを押すと、しぶしぶながら、ステップをあがりはじめます。
いったん乗ってしまうと、大好きなバスに、大好きなＵ先生といっしょに乗って、大好きな盲学校に行くのですから、気持ちをとりなおして、あとはルンルン。
「学校に着くまで、ごきげんに座っていられます。」
とＵ先生からおしえていただき、おとうさんもおかあさんもほっと胸をなでおろしているのでした。
こうして、Ｕ先生と朝のバス停で待ち合わせて、のんたんのバス通学に付き添っていただくようになって、三日が過ぎました。
三日目の夜、Ｕ先生からの連絡帳を見て、おかあさんはびっくりしました。
「明日の朝から、のんたんをひとりでバスに乗せてください。
朝のバスでも、のんたんは落ち着いて座っていて、
まったく問題がありません。
介助の方からも、『これなら、もうひとりで乗れるね。』と
太鼓判をおしていただきました。
介助の方からＯＫがでれば、もうだいじょうぶです。」
だいじょうぶです、と言われても、朝の練習はまだ三日しかやっていません。それでほんとうにいいの？ と、おかあさんは心配でしたが、なにしろU先生がだいじょうぶと言われるのです。それを信じてやってみるしかありません。
こうしていよいよ、のんたんはひとりでバス通学をスタートすることになりました。
（次回につづく）