のんたん日記 ４
１３．のんたんのばんそうこう
１３．１ のんたんのばんそうこう （2002年10月30日）
１３．２ あみちゃんのばんそうこう （2003年 2月 5日）
のんたんのばんそうこう
のんたんが、ちょっとしたケガをしました。手をドアにはさんでしまったのです。たいしたことはないので、とりあえずばんそうこうをはっておくことにしました。
けれど、そのばんそうこうがクセモノです。
もっともっと小さなころは、のんたんにばんそうこうを貼るのはとうてい不可能でした。からだにばんそうこうがくっつくことを、 のんたんはほんの一瞬たりとも、ゆるしてはくれなかったからです。
一年くらい前から、ようやくあるていどは我慢してくれるようになったのですが、それでもやっぱり、のんたんにはばんそうこうがなんだか気になってしかたがないらしいのです。ちょっと目をはなすと、いつのまにかばんそうこうははがれてしまっているのでした。
けれどそのようすを見ていると、どうやらのんたんの気持ちは、「ばんそうこうがからだにくっついているのが堪えられない」のではなく、「べりべりとばんそうこうをはがしてみるのがおもしろい」というふうに変わってきているようなのです。
それはそれでよいことです。なににつけても、ただ拒否するのではなく、興味や関心を持っていじってみる気持ちになれるというのは、のんたんが成長しているからこそと思われるからです。わかってはいるものの、「でもやっぱり、ばんそうこうは貼りつづけていてほしい。」と思うおかあさんなのでした…。
この日も、せっかく貼ったばんそうこうを、のんたんはいつのまにやらはがして遊んだようです。それを見つけたおとうさんは、
「あーあ。はがしちゃった。だめじゃないかー。」
と思わずぼやきました。すると、それを聞いたとたん、のんたんは、いったんはがしたばんそうこうを拾いあげ、あわててまた指に貼ろうとしたそうです。
ほんとははがしちゃだめなんだ、ってわかってるんだね、のんたん。
おとうさんに言われて、あわててばんそうこうをまた指にくっつけようとしたのんたんがとってもかわいかった、と、あとになっておとうさんはおかあさんにおしえてくれました。くすくす笑いながら…。
（次回につづく）
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あみちゃんのばんそうこう
双子で生まれたのんたんとあみちゃんは、ずっといっしょに育ってきました。けれどその育ちのなかで、お互いに関わりあうことはほとんどありませんでした。それは、ひとえに、あみちゃんに関心を持たないのんたんに起因しています。
これは、そんなのんたんが、めずらしくあみちゃんにちょっかいを出したお話です。
それは、ある夜、おふろにはいっているときの出来事でした。
その日、あみちゃんは学校でマラソンをやっているときに転んだそうで、ひざっこぞうをすりむいてしまったのだそうです。そして、保健室でばんそうこうを貼ってもらって帰ってきました。
帰宅後、あみちゃんは、そのばんそうこうを貼ったままで、おふろにはいって体を洗い、湯ぶねにつかりました。もちろん、のんたんもいっしょです。ここまではいつもどおりです。いっしょのお風呂に入っていても、のんたんはのんたんで好きなことをしていますし、あみちゃんの方がなにかをしないかぎり、ふたりがおふろでかかわりあうことはほとんどありません。
ところがその日、ふとしたひょうしに、のんたんの手があみちゃんの足にあたったようなのです。のんたんはめざとく（いえ、手ざとく）、あみちゃんのひざに貼ってあるばんそうこうを見つけたようです。次の瞬間、あみちゃんが金切り声をあげました。
「やーだ！ のんたん！ やめてよおっ」
のんたんはなんと、あみちゃんのひざのばんそうこうを、カリカリとはがし始めていたのです。なにごとが起きたのかとびっくりしたおかあさんも、これには大笑い。
自分に貼られたばんそうこうも、はがしたくてしょうがないのんたん。きっと、あみちゃんのひざのばんそうこうも、はがしたくなってしまったのでしょう。
「のんたん、だめだよ。はがしちゃだめなの。」
とおかあさんに言われて、いったんはあきらめたのんたんでしたが、その後も、「すきあらばはがそう」と、あきらめることなく、あみちゃんのひざを狙っていました。
小さい頃は、のんたんにとってとにかく邪魔でしかなかったばんそうこうが、いまでははがすのを楽しむものになっています。そしてさらに、ばんそうこうが貼ってあるというだけで、けっして自分からさわることのないあみちゃんの足をつかむまでになっていました。
のんたんの興味の対象がどんどん広がっていることに、おかあさんは感慨深いものがありました。もっとも、関心があったのは「あみちゃん」ではなく、あみちゃんの足の「ばんそうこう」だけだったみたいですが…（笑）。
（おわり）
１３．１ のんたんのばんそうこう （2002年10月30日）
１３．２ あみちゃんのばんそうこう （2003年 2月 5日）
のんたんのばんそうこう
のんたんが、ちょっとしたケガをしました。手をドアにはさんでしまったのです。たいしたことはないので、とりあえずばんそうこうをはっておくことにしました。
けれど、そのばんそうこうがクセモノです。
もっともっと小さなころは、のんたんにばんそうこうを貼るのはとうてい不可能でした。からだにばんそうこうがくっつくことを、 のんたんはほんの一瞬たりとも、ゆるしてはくれなかったからです。
一年くらい前から、ようやくあるていどは我慢してくれるようになったのですが、それでもやっぱり、のんたんにはばんそうこうがなんだか気になってしかたがないらしいのです。ちょっと目をはなすと、いつのまにかばんそうこうははがれてしまっているのでした。
けれどそのようすを見ていると、どうやらのんたんの気持ちは、「ばんそうこうがからだにくっついているのが堪えられない」のではなく、「べりべりとばんそうこうをはがしてみるのがおもしろい」というふうに変わってきているようなのです。
それはそれでよいことです。なににつけても、ただ拒否するのではなく、興味や関心を持っていじってみる気持ちになれるというのは、のんたんが成長しているからこそと思われるからです。わかってはいるものの、「でもやっぱり、ばんそうこうは貼りつづけていてほしい。」と思うおかあさんなのでした…。
この日も、せっかく貼ったばんそうこうを、のんたんはいつのまにやらはがして遊んだようです。それを見つけたおとうさんは、
「あーあ。はがしちゃった。だめじゃないかー。」
と思わずぼやきました。すると、それを聞いたとたん、のんたんは、いったんはがしたばんそうこうを拾いあげ、あわててまた指に貼ろうとしたそうです。
ほんとははがしちゃだめなんだ、ってわかってるんだね、のんたん。
おとうさんに言われて、あわててばんそうこうをまた指にくっつけようとしたのんたんがとってもかわいかった、と、あとになっておとうさんはおかあさんにおしえてくれました。くすくす笑いながら…。
（次回につづく）
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あみちゃんのばんそうこう
双子で生まれたのんたんとあみちゃんは、ずっといっしょに育ってきました。けれどその育ちのなかで、お互いに関わりあうことはほとんどありませんでした。それは、ひとえに、あみちゃんに関心を持たないのんたんに起因しています。
これは、そんなのんたんが、めずらしくあみちゃんにちょっかいを出したお話です。
それは、ある夜、おふろにはいっているときの出来事でした。
その日、あみちゃんは学校でマラソンをやっているときに転んだそうで、ひざっこぞうをすりむいてしまったのだそうです。そして、保健室でばんそうこうを貼ってもらって帰ってきました。
帰宅後、あみちゃんは、そのばんそうこうを貼ったままで、おふろにはいって体を洗い、湯ぶねにつかりました。もちろん、のんたんもいっしょです。ここまではいつもどおりです。いっしょのお風呂に入っていても、のんたんはのんたんで好きなことをしていますし、あみちゃんの方がなにかをしないかぎり、ふたりがおふろでかかわりあうことはほとんどありません。
ところがその日、ふとしたひょうしに、のんたんの手があみちゃんの足にあたったようなのです。のんたんはめざとく（いえ、手ざとく）、あみちゃんのひざに貼ってあるばんそうこうを見つけたようです。次の瞬間、あみちゃんが金切り声をあげました。
「やーだ！ のんたん！ やめてよおっ」
のんたんはなんと、あみちゃんのひざのばんそうこうを、カリカリとはがし始めていたのです。なにごとが起きたのかとびっくりしたおかあさんも、これには大笑い。
自分に貼られたばんそうこうも、はがしたくてしょうがないのんたん。きっと、あみちゃんのひざのばんそうこうも、はがしたくなってしまったのでしょう。
「のんたん、だめだよ。はがしちゃだめなの。」
とおかあさんに言われて、いったんはあきらめたのんたんでしたが、その後も、「すきあらばはがそう」と、あきらめることなく、あみちゃんのひざを狙っていました。
小さい頃は、のんたんにとってとにかく邪魔でしかなかったばんそうこうが、いまでははがすのを楽しむものになっています。そしてさらに、ばんそうこうが貼ってあるというだけで、けっして自分からさわることのないあみちゃんの足をつかむまでになっていました。
のんたんの興味の対象がどんどん広がっていることに、おかあさんは感慨深いものがありました。もっとも、関心があったのは「あみちゃん」ではなく、あみちゃんの足の「ばんそうこう」だけだったみたいですが…（笑）。
（おわり）
