のんたん日記 ５
１５．肩とんとん （2004年3月1日）
おかあさんが台所でごはんの支度をしていると、のんたんと遊んでいるおとうさんの声が聞こえてきました。
「のんたん、肩、とんとん、して。とんとん、だよ。」
そんなこと、のんたんにできるわけないじゃない、と思っていると、
「あ〜 じょうず〜！ かた、とんとん！ かた、とんとん！」
というおとうさんの声が聞こえてくるではありませんか。
えっ そんなばかな。のんたんが肩たたきだなんて…、と驚いたおかあさんが見に行ってみると、
たしかに、のんたんが肩たたきをしています。
おとうさんの後ろに立って、
「かた、かた、とんとん！ かた、とんとん！」
というおとうさんの歌にリズムを合わせて、とんとん、とんとん、とおとうさんの肩をたたいているのです。
そのかわいらしいことといったら、ありません。
「のんたん、かーたんにもやって！ かた、とんとん、やってください！」
おかあさんが頼むと、のんたんはおかあさんの肩に向かって、とんとん、とんとん、と得意そうに
やりはじめました。
「のんたん、じょうず〜！！ すごいねえ〜！！」
まさか、のんたんに肩をたたいてもらえる日がこようとは思ってもみなかったおかあさんは、感激もひとしおです。
おかあさんにほめられて、のんたんもうれしそうに、とんとん、とんとん、とたたいています。
「どう？ しらなかったでしょ？ いつもこうやってやらせて、練習してたんだよ。」
と言うおとうさんの、得意そうな顔と言ったらありません。
三人で楽しそうにしているのを見て、あみちゃんもやってきました。
「あみちゃんもやる！ かた、とんとん、やる！」
「ありがと〜。じゃあ、あみちゃんは、かた、もみもみ、やってください。」
おかあさんに言われて、あみちゃんは、もみもみ、もみもみ、とやりはじめました。
それは、つぼもなにもはまっていなくて、ただ肩の上を小さな手がちょこちょこと動くだけの「もみもみ」でしたが、
おかあさんのうれしさには変わりありません。
「おかあさん、気持ちいい？」
「うん、いいよ！ とっても気持ちいい！ あみちゃん、じょうずだねえ！！」
「うん！ そうでしょ！！ あみちゃん、学童でも先生からそう言われるんだよ！」
学童の先生も、気を遣ってくださっているようです（笑）。
日曜日の遅く起きた朝、まだ敷きっぱなしのお布団の上で、とんとん、もみもみ、と遊ぶのんたん一家は平和そのものです。
そんななにげないことが、おかあさんにはとてもうれしく感じられるのでした。
（おわり）
