Ｏｕｒ　Ｓｔｏｒｙ

　　それは、７月末に届いた一通のメイルから始まったのでした。
　　たまたま、「ZAWAWA el ZAWAWA」からのメイルを何気なく開いてみると、いきなり、「ママディ・ケイタ・コンサートのチケットを抽選でプレゼント」の文字がとびこんできました。「ZAWAWA el ZAWAWA」は、アフリカに関するＨＰを開き、文化交流、コンサート、チャリティなど、様々な活動をしている団体です。
　　ママディケイタといえば、ギニアの有名なアーティスト。かねてから、のんたんに聴かせてやりたい、と思っていました。
　　数ヶ月前、たまたま、江東区が「バリアフリーコンサート」なるものを開き、一家ででかけてみたところ、中でもインド音楽とアフリカ音楽に、のんたんはとても興味を示したのです。特に、アフリカ音楽はかなりお気に召したようで、その時の歌を一回で覚えてしまい、その後も、保育園からの帰り道、「キレレー　キレレー、アオアオキレレー・・・」などと、突然歌い出したりして、びっくりさせてくれたことも。
　　その、アフリカ音楽を代表するママディ・ケイタ氏のコンサートのチケットプレゼント。これは、申し込まない手はありません。早速、「ZAWAWA el ZAWAWA」にメイルを送り、抽選に応募するにはどうしたらいいかを問い合わせてみました。そして数日後、代表の検崎さんからいただいたご返事は、予想もしていなかったものでした。
「ママディ・ケイタは本当にすばらしいミュージシャンですよ！是非見ていただきたいライブです。息子さんが全盲・難聴とメールに書いてありましたが、アフリカのパーカッションの音は体で感じとれるので息子さんも喜ぶと思います。そこで、８月の抽選とは別枠で、プレゼントします。息子さんと楽しんできてください！いつもお世話になっているお礼です。後日郵送しますので、お楽しみに！　　ZAWAWA　検崎」
　　もう、頭が真っ白になりました。高価なチケットを、会ったこともない方がプレゼントしてくださると言うのです。
　　さっそく亭主に言うと「ほんとにもらえるの？　間違いじゃない？　何枚もらえるの？」などと聞かれましたが、私がそれに答えられるはずもありません。「もしも一枚だけ送ってもらったら、のんたんといっしょに行ってきていいよ。私はあみちゃんとデパートにでも行ってるから。」と言うのがせいぜいでした。
　　コンサートの開かれる日は、愛知県豊橋市で開催される予定の「全国盲ろう者大会」の会期３日目にあたります。大会には一家で参加する予定でしたが、急遽予定を変更し、２１日の早朝に豊橋を出発することにしました。もちろん、大会の後に予定していた静岡旅行もキャンセルです。「静岡は逃げないけど、ママディ・ケイタは今しかないもんね！」というわけです。
　　８月になり、とうとう、「ZAWAWA el ZAWAWA」のネームのはいった封筒が送られてきました。わくわくしながら封筒を開けると、同封されていたチケットは２枚！　ヤッター。これで、一家四人でコンサートに行けます。子どもたちはヒザに乗せれば、チケットは２枚でいいわけです。検崎さん、ありがとございます！！
　　ところが、ふとチケットを見ると、なんと、「未就学児の入場はご遠慮ください。」と書いてあるではありませんか。のんたんとあみちゃんは４歳になったばかり。なんだかイヤな予感がします。
　　しばらくの間迷っていたのですが、コンサートの日は近づいてきます。思いきって、コンサートを主催している、「Ｋ文化振興財団」に電話してみました。
　　すると、やはり、「４歳では入場できません。もしも同伴されていらした場合は、入場をお断りすることになってしまいます。」という最悪の回答でした。
　　のんたんが入場できないのでは、なんの意味もなくなってしまうというのに・・・。なんとしても、聴かせてやりたい。思いがけずプレゼントしていただいた２枚のチケットを眺めながら、ため息がでました。

（次回に続きます。）