Ｏｕｒ　Ｓｔｏｒｙ

　　Ｋ文化振興財団の職員の方からは、優しい口調ながらも、「未就学児は入場できません。」ときっぱり言われてしまいました。
　　もしもまだチケットを買う前でしたら、この時点で、コンサートに行くのはあきらめていたと思います。けれど私たちは、検崎さんからチケットを２枚もいただいていたのです。せっかくの検崎さんのご好意を無駄にすることはできません。
　　思い立ったら、行動にうつすのみ。すぐさま、責任者のＳさんという方に、お手紙を書くことにしました。Ｓさんとは一面識もないのですが、とにかくその時は必死でした。以下は、そのときに書いた手紙から抜粋したものです。

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拝啓

　　８月２１日に開催予定の、「ママディ・ケイタ＆セワカン　スーパーライブ」につき、お願いがございます。子どもと同伴で入場することを、お認めいただきたいのです。
　　私には、４歳になる男の子と女の子の双子がおります。超未熟児として生まれた後遺症で、男の子には全盲・難聴の障害が残り、女の子は慢性肺疾患児となりました。たくさんの方々に支えられ、現在は幸せに暮らしております。
　　長男は難聴とはいえ、少しは聞こえているようで、音楽が大好きです。５月に、江東区が主催したバリアフリーコンサートに一家で参加したところ、インド音楽とアフリカ音楽がとても気に入ったようで、じっと聴いておりました。よほど心に残ったようで、その時に聴いたアフリカ音楽を、今でも時々口ずさんでおります。
　　長男に音楽を楽しむ力が残されたことに感謝しつつ、これからもいろいろな音楽を聴かせてやりたいと思っております。今回のママディ・ケイタも、ポスターを見て、連れていってやりたいと思っておりました。
　　たまたま、福岡でアフリカ関係のＨＰを開くかたわら、援助など様々な活動をなさっておられる検崎さんという方にこのお話をしたところ、「是非、ご一家で楽しんできてください。」と当日のチケットを２枚もプレゼントしてくださいました。
　　夫婦で大喜びしたのですが、よく見ると、チケットには、「未就学児はご遠慮ください」と記載されています。ただいまお電話で確認したところ、やはり、未就学児を連れている場合は、入場できないとのことで、落胆しております。
　　たしかに、幼児が騒いだりしては、せっかくのコンサートの邪魔になると思います。が、私共の長男にとって、このコンサートを聞かせてやることが、どれほど大きな喜びになるか、をおくみとりいただければと思います。
　　私共は、今週１９日より２２日まで、愛知県豊橋市で開催される「全国盲ろう者大会」に一家で参加する予定ですが、会期を一日早くきりあげて２１日の早朝に愛知を発ち、コンサートに間に合うように戻ってこようと思っています。このコンサートのために、大会後に予定していた家族旅行もキャンセルいたしました。にもかかわらず、コンサート会場入り口でとめられてしまっては、すべてが無駄になってしまいます。
　　子どもたちが万が一他の方々のご迷惑になるようでしたら、すぐに会場から出るようにいたします。どうぞ、私たちの事情をご理解いただき、当日は一家で入場させていただけるよう、お計らいいただけませんでしょうか。
　　何卒、何卒、よろしくお願い申し上げます。また、こちらからお電話させていただきます。

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